タイトル:Harry the Dirty Dog(日本語版タイトル:どろんこハリー)
文:Gene Zion
絵:Margaret Bloy Graham
原作出版国:USA
初版年月日:1956年(月日不明)
購入できる絵本の種類:ペーパーバック/ボードブック/図書館 →ショップで商品を確認

あらすじ

ハリーはお風呂に入るのが大嫌い。ある日、ハリーはお風呂ブラシを裏庭に埋めて隠し、家出をしました。町の色々な場所をまわって遊ぶうち、ハリーはすっかり汚れて真っ黒になってしまいます。疲れておなかがすいたハリーは家に帰るのですが、真っ黒になったハリーを誰もハリーだとわかってくれません。家族はみんな心配してハリーを探しています。僕はここにいるのに! ハリーはどうすれば自分がハリーだと家族にわかってもらえるのでしょう? 

レビュー

カラー版で復活した往年の名作
日本語版タイトル「どろんこハリー」で知られる往年の名作です。子供の頃に読んだ思い出がある方も多いのではないでしょうか。今回、紹介するのは、原作では白黒だった絵に、マーガレット・グレアム自身が色をつけてカラー版となった絵本です。原作に思い入れがある方には少し違和感があるかも知れませんが、私はカラー版も素晴らしい絵だと思います。

家を飛び出して遊び回るうち、黒ぶちの白犬“a white dog with black spots”だったハリーが白ぶちの黒犬“a black dog with white spots”になってしまい、家族の誰もハリーだとわからなくなってしまうというお話です。この対比的な表現は、英語の文法についてとても勉強になると思います。それ以外にも、この作品には英語を勉強する上でのエッセンスがたくさん含まれています。

英語のエッセンスにあふれ、読みやすく、子供受けのいい作品
この絵本には、過去形、進行形、現在完了形のほかに、比較級、最上級など、英語の文法の基礎となる様々な表現がバランスよく出てきます。あるいは、中学生までに習う英文法が、この一冊で網羅されているのではないかと思います。それに加え、“(Harry) liked everything, except getting a bath.”など、英語ならではの基本的な構文も。

しかも、読みやすいのです。そうした英語の基本要素をしっかりと含みながら文章は読みやすく、翻訳に頭を悩ませる表現もありません。かわいらしい犬の物語ということもあってか、子供受けも抜群です。英語の教材として考えたときこの作品以上の絵本は、あるいはないのではないかと思えるほどです。

犬好きにはたまらないハリーの愛らしい仕草
もちろん、絵本としての完成度は言うまでもありません。シンプルでわかりやすい物語の構成もさることながら、かわいらしいハリーの絵がこの作品最大の魅力です。とりわけ自分であることをわかってもらいたくて、家族に芸を見せるハリーは、犬を飼ったことがない私でも胸がキュンとしてしまう(?)愛らしさに満ちています。きっと犬好きの方にはたまらない作品なのではないでしょうか。

Harry the Dirty Dog

Harry the Dirty Dog

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Gene Zion
HarperCollins
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