タイトル:Just My Friend and Me (日本語版 無し)
文/絵:Mercer Mayer
原作出版国:USA
初版年月日:2001年3月27日
購入できる絵本の種類:ペーパーバック/学校 →ショップで商品を確認
あらすじ
一人で遊ぶのは嫌だから友達を呼んだんだ。友達と僕とでならできることはいっぱいある。リンゴの木に登ったり、かくれんぼしたり、バスケットボールをしたり、野球をしたり。友達はどれをやっても上手だけど、僕は負けたわけじゃない。まだちょっと本気を出していないだけさ――
レビュー
「リトル・クリッターシリーズ」の続編
このサイトではすっかりおなじみとなりました「リトル・クリッターシリーズ」の続編です。クマのような奇妙な生物「リトル・クリッター」が、友達であるクマを呼んで遊びに興じる物語です。なお、「リトル・クリッター」の何たるかについては“All by Myself”のレビューを参照ください。
あいかわらず「ちょいキモ」な絵柄で、けれども友達と遊ぶ中でくるくるとめまぐるしく変化する主人公の表情と仕草が面白い作品です。悪ガキふたりの遊びはときに危険で、クマくんが自転車でジャンプ台を飛び越えようとして豪快に転倒し、ホイールをひん曲げたりしています。それを見ている主人公が驚いて「シェー(イヤミ@おそ松くん)」のようなポーズをとっており、我が家の子供たちはそれを見るたびにげらげらと笑っています。
力関係に差がありつつも、それでも仲よく遊んでいる二人
もっともこの二人、実のところ平等な立場で遊んでいるわけではありません。力関係は常に「クマくん>主人公」という構図で、何をやってもクマくんの方が上手、あるいは上位に立っています。たとえば主人公がはしごを使って木にのぼろうとしていれば、クマくんが“only babies use a ladder”と言ってはしごを外したり、野球をすればクマくんは打ってばかりでボールを追おうとしなかったり、おもちゃを片付けると言っては主人公ばかり片付けてクマくんはベッドに寝そべってマンガを読んでいたり……。
けれども、主人公としてはそうしたクマくんの態度を悪くは感じていない模様で、終始楽しそうに遊びの相手をしています。こういった友達関係――大人の目には少しいびつにも見えるけれど、子供たちにとってはいたって自然で普通に仲がいいだけ――という関係は、ある意味、現実にはありふれたものなのかも知れません。
大人の中にある理想ではなく、悪ガキ同士の関係をリアルに描き出していることで、キャラクターが生き生きと動き回る「血の通った物語」になっている……正直、そこまで言うと言い過ぎかも知れませんが、私はそのあたりがこのピカレスクじみた作品の最大の魅力のように感じます。
主人公の成長につれて上昇する英文のレベル
さて、“All by Myself”、“I am Mad”と紹介してきたリトルクリッター・シリーズですが、主人公は幼児から少年へ、少年から悪ガキへと立派に成長しています。主人公ばかりでなく、“All by Myself”では子供用リード(米国でもあるんですね)につながれていた妹も成長し、水鉄砲で主人公にいたずらを仕掛けるそぶりを見せるまでになっています。
そして、“All by Myself”ではひたすら“I can…”の繰り返しだった英文が、本作に至っては実に多様な語彙と表現をもってつづられています。“Louisville Slugger bat”、“playing daredevil”など、辞書を引かなければ意味はおろか発音さえわからない成句もあり(私が不勉強なだけかもわかりませんが)、なかなか骨のある英文となっています。
どういった巡り合わせか出会ってしまった“Little Critter”シリーズという作品。日本での知名度は決して高くないのでしょうが、我が家ではほとんど「ぐりとぐら」と同じくらいの存在感をもってガッチリと子供たちのハートに食い込んでいます。背表紙に書かれている作品を数えるだけで24作……全作とはいきませんが、我が家の“Little Critter”たちの成長に合わせて、また新しい作品を入手し、読み聞かせていきたいと思います。
Just My Friend and Me (Little Critter) (Look-Look)
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